2008.01.31 21:42 (木)  漫画


アフタヌーン誌で連載が終了してから一年以上。
当初の発売予定から半年以上も経過した、待ちに待った最終巻。
半分以上書き下ろし(5編)で、とても読み応えのある最終巻となりました。
最後だからというわけでもないでしょうが、読んでいて涙腺が緩みっぱなしで困る。

単に感動的なお話があるというんじゃなくて、心の律線に触れるというか、気が付いたら涙が頬を伝わっていて「あれ?今私・・・泣いてる?」みたいな感じ。


一旦ページをめくったらもうそこから抜け出せない。
神戸という実在の街に生きる桂たち架空のキャラクター。
しかし、その独特の絵柄で描かれる彼女たちはとてもリアル。
読んでいるうちに、本気でこの人たちは今もそこに住んでいるんじゃないか、そう思えてきます。
下手なTVドラマなんかよりもよっぽどリアルな「其処に居る」感がじわじわと染みてきます。


こんなに惹き付けられる漫画は今までもなかったし、これからもそうそうないと思っています。
なので、終わってしまった事に改めて寂しさのようなものも感じる。



+ + +


にしても。
「巨娘」と「神戸在住」って、同じ作者が書いてるとは思えないよね。
でも笑いのセンスは一緒。
それは表紙カバーをめくったそこにも現れていますよ(笑)

本作は、その巨娘の連載を一旦中断(たぶん)してまで作られただけあってまさに珠玉の出来。
帯に在るとおり『一生、読み続けられる本』だと思います。


++

「神戸在住」のストーリーは、基本的に全て「神戸という街」と「人々」を桂の視点から描いたもの。
その中でも特に大きなモノが「日向洋次」との出会いと別れである事は間違いなく、それ故に日向さんとの出会いの物語の決着をつける話が最後に描き下ろされたのも判る気がします。


主人公の桂って、基本的になんに対しても真面目に向かう人なんですよね。
そういうところがあるから人と接するときも真面目に向き合うし、傾倒しすぎないように無意識に自制する。
それが敬語という形に出てくるのではないかな。

東京に居たころはそれが行き過ぎて自閉気味になったりもしてました。
神戸に着てからは逆の方向に振り切れてベリーショートな髪型になったりもしました。
基本的に真面目。そして不器用な少女。


その桂からの視点でずーっと描かれてきた「神戸在住」の世界。
友人エピソードなども沢山ありますが、それも全て桂からの伝聞調で徹底していた本作。

にも関わらず最終話後に追加された描き下ろしは桂以外の視点から描かれています。
もうそれだけで意味のあるその視点の持ち主は・・・日向洋次。
神戸に引っ越してきた以降の彼女にとっての学校繋がり以外での最重要人物。

日向洋次からみた辰木桂。
桂に大きな影響を与えた彼は、桂のことをどう思っていたんだろう。

そんなことが彼の死の直前という時間で描かれています。
そう。
このエピソードの最後の日、日向洋次はこの世を去るのです。(第7巻収録)
そんな瞬間をここに描いてくるとは思いもしませんでした。

こんなお話をここで持ってくるなんて、反則だよ。
私にとってこのお話はいろいろと衝撃的。
今でも上手く言葉に現せません。


ですが、これで終わらない。

最後のエピソード「まためぐる朝」も描き下ろし。
今度はカメラの位置を桂の目線そのものとし、桂をコマの中に描かないという手法で、その桂から見た相手はいつこちゃんとたけいくん。

ちょっと大きくなったお隣の子供たちです。
たけい君はいつこちゃんの手を引いて保育園への送り迎えをするお兄ちゃんとして自覚を持ち始め、いつこちゃんは桂の事を「となりのおねえちゃん」とちゃんと認識してくれるようになりました。

もう、滅茶苦茶可愛いですこの二人。
そしてその二人を見送る桂の顔がまた、なんともいえない、笑顔。


ここからまた神戸在住の人々の物語は続いていく・・・と書くとありがちなエンディングだけど、これほどまでにしっくりくるエンディングもないかと。


それを上手く文章に表せない自分がもどかしい。

この拙い文章に少しでも感じるところがあったらぜひ手にとってごらんください。
万人に薦められる良作です。
著者:木村紺
発行:講談社

「アフタヌーン」2006年2月号〜5月号掲載作品+描き下ろし5編



テーマ : 漫画の感想 - ジャンル : アニメ・コミック

タグ : 神戸在住 木村紺 コミックス 漫画

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